接地アダプタは、アースのある3極のACプラグを、アースのない2極のコンセントに差し込むときに使うものです。接地アダプタからひょろっと出た緑や黄色の線はアース線で、別途アース(大地)に接続するためにあります。
ところが、私は接地アダプタのアース線を正しくアース(大地)に接続して使っている状態を、ほとんど見たことがありません。
3極のACプラグを使用している製品は、感電防止などの安全性やノイズ耐性強化のためにアース(大地)接続を行うことで、本来の安全性と信頼性を発揮できるように設計されています。
そのため、アース接続を怠ると、感電や誤動作の原因になることがあるのです。
以前、東南アジアのお客さまから「何度交換してもウェイングインジケータがすぐ壊れる。この前なんか交換して2週間で壊れた!」とのお話があり、調査をすることになりました。
しかし、すぐ壊れると言われたインジケータはA&Dのロングセラー製品で、めったに壊れるものではありません。
このような場合、現場に特有の原因があることが多いものです。ですが、海外の現場なので、すぐに伺うわけにはいきません。そこで取り急ぎ、接続図を送っていただくことにしました。
その図面を詳細に確認しているうちに「電源コード 2P」との記述を発見しました。「電源コード2P」は、AC電源の2極しか接続せず、アース線は配線しないということです。
それを毎日のように激しいスコールが降って、雷も発生する気候条件の地域で使っているのです。
「何てことを!」
アースなしの状態で落雷や強力な静電気によるノイズ電圧を受けると、行き場を失ったノイズ電圧がウェイングインジケータ内部の電子回路に侵入して破壊したり、その先に接続されている機器が破壊されたりといった不具合が生じやすくなります。
だから私は、接地アダプタでアースが切断されてしまっている現場を訪問すると、あの絵のように叫びたい気持ちになるのです。